第39話 忘れられない「エビ」物語

ドバイで「エビ」に関する思い出2話です。 

その1  「今も消化不良のエビ」 

ドバイ着任後夫の同僚からご親切に観光案内のお誘いがあった。

一番興味あるところ、行きたい場所を聞かれて私は市場を希望。

それがきっかけで、ドバイフィッシュマーケットがデイラ地区にある頃よく

行った。

 ドバイからヨーロッパ、アフリカ、モロッコ等旅行へ行っても、もちろん国内旅行でも、観光地はどこよりも市場が大好きで、生活感溢れる活気から元気をもらっていた。

 

で、多くの日本人からの情報でフィッシュマーケットで買い物する際は、値切るようにアドバイスを受け、その交渉をゲーム感覚でやったのです。

安く購入できたことを喜ぶというより、簡単な英語を使ってそれが通じたことで

満足みたいな。。 それがエビだったのです。

 

 ところが、家に戻りキッチンの秤にかけると初めからその値段の量だった。

要するに相手は「日本人は必ず安くするよう言ってくるから、安くしたように思わせて中身はその値段の量」にしていたのです。

 

 私は少ないことにショックを受けたのではなく、あの場所での自分のやり取りを思い出して恥じ入った。

市場が有名なゴールドスークでの値段交渉ならともかく「エビ」なのだ。

 

 イスラム教には「富める者は貧しい者に分け与えよ」という「喜捨の精神」というものがあるという。

エビの売り手と買い手の私はもちろん対等だが、出稼ぎの売り手は生活費を稼いでいるのだ。今でもエビの値段交渉は悔やまれる。

 

その2 頭のないエビ

スーパーで氷に埋もれたエビが売られている。

その中には頭がとれているものがあった。

そこで私が店員に言った。「頭のとれたエビお願いします。」

スリランカ出身の店員は私の言葉に首をかしげながら笑いながら対応。

????ながらもそれを丁寧に選んでくれる。

私は頭のない分安くなった以上にチップをあげた。

頭のないエビを選ぶ日本人マダムの考えが彼もすぐに理解できたようで満面の

笑みだった。

それ以来、スーパーで私を見つけると「マダム、マダム」と合図していた。

私はそこが居場所のように逆に癒されていたのかもしれない。

 

言葉は通じなくても気持ちのいいお付き合いができる

エビの話しでした。

 

*58歳の英語の話せないオバサンの3年間(2011年3月~2014年

3月)のドバイ生活の記録です。  

*国際コミュニケーション キーワードは ・度胸 ・好奇心 ・サービス精神